
「最近抜け毛が増えた気がする」「前よりおでこが広くなってきた?」などと薄毛が気になり出した男性の中には、AGA(男性型脱毛症)を疑っている方も多いのではないでしょうか。
当記事では、AGAの特徴や症状について説明した上で、脂漏性皮膚炎などの他の疾患との見分け方や違いを解説!
また、AGAの初期症状や抜け毛の本数・特徴、生え際やつむじ等のはげ方の種類ごとにAGAかどうかを見分ける判断基準をまとめたので、治療するかどうか参考にしてください。
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AGAの見分け方を解説!脂漏性皮膚炎や他の疾患との違いは?

AGA(男性型脱毛症)は日本人男性の3人に1人が発症すると言われている疾患であり、男性の薄毛を引き起こす原因として最も多いとされています。
ただし、薄毛や抜け毛は必ずしもAGAによるものではなく、他の脱毛症によって症状が発現している可能性も考えられます。
まずは、AGAの特徴や症状について説明し、AGA以外の薄毛の原因として考えられる「脂漏性皮膚炎」などの他の疾患との見分け方・違いを解説します。
AGAとは?AGAの特徴や症状について
AGA(男性型脱毛症)には、生え際や頭頂部(つむじ)に薄毛・抜け毛などの症状が現れやすく、急激にではなく徐々に進行するケースが多いという特徴があります。
AGAの原因は主に“遺伝”や“男性ホルモン”によるものと考えられており、下記のようなメカニズムで発症してしまいます。
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- STEP 1
- 男性ホルモンの「テストステロン」と還元酵素の「5αリダクターゼ」が結合し、テストステロンが悪性の「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変換される
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- STEP 2
- DHTが毛乳頭細胞にある「アンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)」と結び付くと、脱毛因子「TGF-β」が発生する
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- STEP 3
- GF-βが毛乳頭細胞に脱毛シグナルを出すことでヘアサイクル(毛周期)が乱され、髪の毛が十分に育たなくなり薄毛が進行してしまう

このように、AGAは5αリダクターゼと男性ホルモンの結合が発端となって引き起こされるものです。
また、5αリダクターゼの活性度は父親または母親、アンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)の感受性は母方の家系から遺伝する可能性が高いと言われており、AGAの発症しやすさに大きな影響を与えるため、AGAかどうかを見分ける際には「親族にAGAの人はいるか」という点もチェックしてみると良いでしょう。
AGAと脂漏性皮膚炎の見分け方と違いは?
AGA以外に薄毛・抜け毛を引き起こす疾患としては、「脂漏性皮膚炎」という皮膚症状が挙げられます。
ただし、脂漏性皮膚炎自体が薄毛に直結する訳ではなく、脂漏性皮膚炎から起こる“脂漏性脱毛症”によって抜け毛などの症状が現れます。
AGAと脂漏性皮膚炎(脂漏性脱毛症)の見分け方として、発症の原因や脱毛が起こりやすい箇所、脱毛以外の症状などの違いを下記の表にまとめました。
AGA | 脂漏性皮膚炎 (脂漏性脱毛症) |
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発症の原因 | 男性ホルモン | 皮脂の過剰分泌によるマラセチア菌の増殖 |
脱毛が起こる箇所 | 前頭部や頭頂部 | 頭部全体 |
脱毛以外の症状 | 特になし | 頭皮の赤み・かゆみ・フケなど |
治療法 | AGA治療薬(内服薬・外用薬) 注入治療 自毛植毛など |
抗真菌剤 ステロイド外用薬など |
治療が行える医療機関 | AGA治療・薄毛治療クリニック 一般・美容皮膚科 内科など |
一般皮膚科 |
AGAの発症メカニズムでも前述した通り、AGAは男性ホルモンの変異によってヘアサイクルが乱されることが原因ですが、脂漏性皮膚炎(脂漏性脱毛症)はマラセチア菌の増殖によって皮膚が炎症を起こし、頭皮環境が悪化することで脱毛が生じます。
AGAと脂漏性皮膚炎(脂漏性脱毛症)を見分けるポイントとしては、
●薄毛や抜け毛が気になる箇所はあるか
⇒前頭部・頭頂部などの薄毛が気になるなら「AGA」
⇒頭部全体のボリュームの減少などが気になるなら「脂漏性皮膚炎(脂漏性脱毛症)」
●薄毛・抜け毛以外の症状はあるか
⇒他の症状が特になければ「AGA」※人によっては頭皮のかゆみ等が生じる場合もあり
⇒頭皮に赤みやかゆみ、フケなどのトラブルがあれば「脂漏性皮膚炎(脂漏性脱毛症)」
など、頭部の状態をしっかりとチェックすることが重要です。
また、AGA治療ではフィナステリド・デュタステリド・ミノキシジルなどを配合した治療薬などを用いるのに対し、脂漏性皮膚炎の治療では抗真菌剤やステロイドが使用されており、適応する治療薬は全く別物のため、どちらが原因で薄毛を発症しているかをきちんと判断した上で適切な治療を行うようにしましょう。
その他にも、AGAと混同しやすい薄毛・抜け毛を引き起こす疾患としては以下のようなものが挙げられます。

円形脱毛症 | 【原因】 自己免疫疾患、アトピー素因、ストレスなど 【特徴】 頭部の一部にのみ脱毛が起こり、円形または楕円形の“脱毛斑”が生じてしまう 【AGAとの見分け方】 脱毛の症状の現れ方で見分ける! |
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抜毛症(トリコチロマニア) | 【原因】 ストレス等による抜毛癖 【特徴】 無意識または意識的に毛髪を抜いてしまうことで、薄毛になってしまう 【AGAとの見分け方】 抜毛行為をしていないかで見分ける! |
粃糠性脱毛症 | 【原因】 皮脂トラブルによるフケの発生 【特徴】 多量のフケによって毛穴が詰まってしまい、頭皮が炎症を起こすことで脱毛を生じる 【AGAとの見分け方】 頭皮にフケなどの症状があるかで見分ける! |
老人性脱毛症 | 【原因】 加齢(60代以降の方が対象) 【特徴】 歳を重ねることで毛母細胞が徐々に死滅していき、頭部全体の髪の毛が薄くなってしまう 【AGAとの見分け方】 薄毛を発症した年齢で見分ける! |
上記のように、脱毛を引き起こす疾患には様々な種類があるため、薄毛や抜け毛はAGAによるものだと決めつけることなく、しっかりと原因を見分けた上で適切な対処をすることが大切です。
AGAを見分けるには初期症状や抜け毛の本数・特徴をチェック

前項のAGAと他の脱毛疾患の見分け方を踏まえ、「やっぱりAGAかもしれない・・・」と疑いを持った方は、AGAかどうかを見分けるために下記のセルフチェックをしてみましょう。
AGAの見分け方セルフチェック!初期症状を確認してみる
- 抜け毛の量が以前よりも増えた
- 髪が細くなった気がする
- 髪のハリやコシがなくなった・毛質が変化した
- 髪のボリュームが減った
- ヘアスタイルが決まりにくくなった
- 前髪やつむじの地肌が透けて見える
- おでこが広くなったように感じる
- 起床時の枕に毛が多数付着している
- 産毛のような短い毛が多くなった
- トップの毛が立たずに潰れてしまう
上記のセルフチェックは、AGAの初期症状~中程度の症状などをまとめたものなので、該当するチェック項目が多かった方はAGAを発症している可能性が高いと言えるでしょう。
ただし、AGAは緩やかに進行していく疾患であり、初期症状ではそこまで顕著に変化が現れないこともあります。セルフチェックで2〜3項目しか当てはまらなかったという方でもAGAの初期段階の可能性もあるので注意が必要です。
セルフチェックでは頭部全体の様子や日常の様子から、AGAかどうか見分けるポイントをご紹介しましたが、次の項目では、抜け毛の本数や髪質の状態など更に詳しいAGAの見分け方について解説していきます。
AGAの見分け方!髪の毛が抜ける本数や髪質をチェック
AGAのより詳しい見分け方として、抜け毛の本数や抜け毛の髪質から判断する方法があります。
1日の抜け毛の本数 | |
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1日に髪の毛が抜ける本数が「〜100本」だと… 正常な抜け毛 1日の抜け毛の本数が100本以下であれば、正常な抜け毛だと言えるでしょう。 100本という数字だけを見るとかなりの髪の毛が抜けているように感じてしまいますが、日本皮膚科学会でも1日に抜ける毛の量はおおよそ100本程度とされています。 |
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1日に髪の毛が抜ける本数が「100本〜200本」だと… 正常な抜け毛の場合とAGAによる抜け毛の場合がある 1日の抜け毛の本数が100本以上200本未満の場合、季節の違いなどを踏まえて正常な抜け毛かAGAによる抜け毛かを見分ける必要があります。 一般的に、夏や秋は一年の中で特に抜け毛が増えやすい時期と言われており、抜け毛の本数が通常の2倍程度になるケースも珍しくないようです。 そのため、夏・秋に抜け毛が200本より少ない場合は正常、春・冬に抜け毛が100本を超える場合にはAGAの疑い がある、というのが見分け方の目安になります。 |
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1日に髪の毛が抜ける本数が「200本~」だと… AGAの可能性が考えられる 1日の抜け毛の本数が200本以上見られる場合は、AGAを発症している可能性があります。 しかしながら、200本以上という数はあくまでも目安であり、体質的な関係も考えられるため、抜け毛の太さやハリなどの状態を見て判断することも大切です。 |
上記では、1日あたりの抜け毛の本数について解説しましたが、実際に1日の抜け毛の数を把握することは難しいと思います。
そこで、1日の中で最も抜け毛を確認しやすいタイミングと言われる洗髪時(入浴時)に、何本髪の毛が抜けているのかチェックしてみましょう。
入浴時・洗髪時の抜け毛の見分け方 |
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①排水口に溜まっている髪の毛やゴミを予め取り除いておく ②いつも通り洗髪を行う ③排水口に溜まった髪の毛の本数を数える ・30本~60本程度→正常な脱毛量 ・70本以上→AGAの可能性あり |
洗髪時は、日中に既に抜けていた髪の毛や抜け落ちる予定の毛髪が洗髪の刺激で洗い出されるため、おおよその1日の脱毛量が確認できます。抜け毛の本数が60本程度であれば、正常なヘアサイクルと言えますが、70本以上の場合はAGAによってヘアサイクルが乱れている可能性が考えられます。
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・太くて長くハリがある髪の毛 ・毛根が丸く膨らんでいる ・毛根が半透明 |
・細くて短く弱々しい髪の毛 ・毛根が変形していたり無くなっている ・毛根が真っ黒 ・皮脂などが付着している |
太くてハリがあり、マッチ棒のような形状をした抜け毛であれば、通常のヘアサイクルによって抜けた髪の毛と判断して問題ありませんが、細くて柔らかく、毛根部分がはっきりとした形をしていない抜け毛の場合、AGAの影響を受けている可能性があります。
また、一見健康そうな見た目の抜け毛でも、毛根の色が真っ黒だったり、毛根周辺に皮脂が付いてベタついている場合もAGAになりかけているサインなので、注意しましょう。
毛根に付いている塊の色が透明~半透明でしつこいベタつきがなければ、「毛根鞘」の可能性があります。毛根鞘は頭皮に髪の毛を繋ぎ止める役割を持つ組織であり、太くてハリがある毛髪が毛根鞘ごと抜けた場合は、自然なヘアサイクルで抜けた毛髪と考えて良いでしょう。
その一方、毛根に付着していた塊が白~黄色っぽい色をしており、べったりとこびりついていれば頭皮から分泌された皮脂の可能性があり、頭皮環境が悪化していることが考えられます。

ここまで、抜け毛の状態から確認するAGAの見分け方をご紹介しましたが、自分では判断が難しいという場合は、専門医のいるAGAクリニックで診察をしてもらうといいでしょう。
AGA部位別の見分け方!はげ方の種類・パターンごとの判断基準
ここからは、薄毛の進行パターンをもとにしたAGAの見分け方をご紹介します。
AGAの進行パターンを分類した分類法「ハミルトンノーウッド分類」によると、AGAによる薄毛はこのように進行すると言われています。

AGAの症状は主に頭頂部・生え際・前頭部に発症するため、その3ヶ所の様子を見ればAGAなのか、正常な頭皮や毛髪の状態なのか見分けられるかもしれません。
各部分のAGAの見分け方をそれぞれご紹介するので、参考にしてみてください。
AGAの生え際の見分け方は?M字はげの基準について

M字はげは、額中央の毛髪を残し、額の生え際が両サイドから後退していく進行パターンです。上から見るとアルファベットの「M」の字のような生え際の形をしている点が特徴です。
AGAの生え際の見分け方には、前向きから確認する方法と横向きから確認する方法があります。カメラで撮影した画像を参考にしたり、実際に鏡の前でチェックしてみてください。
横向きから行うM字はげの見分け方 | |
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頭頂部から耳にかけて縦の直線を描く | ・直線から生え際の最後部までが2㎝以上 →正常な生え際 ・直線から生え際の最後部までが2㎝未満 →M字はげの可能性がある |
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前向きから行うM字はげの見分け方 | |
眉を上に動かし、おでこにシワを作る | ・生え際に最も近い位置にあるシワと生え際の間に指が2本以上入らない →正常な生え際 ・生え際に最も近い位置にあるシワと生え際の間に指が2本以上入る →M字はげの可能性がある |
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生まれつきの額の形と混同している可能性もありますが、上記の見分け方に当てはまるうえで「生え際周辺の毛髪が細く短い」「額付近の頭皮を指で動かそうとすると硬く痛みを感じる」などの特徴が見られた場合は、AGAの影響を受けていると考えられます。
M字はげはAGAの初期症状とも言われているため、クリニックによっては治療薬を用いた「投薬治療」や「注入治療」によるAGA治療からスタートすることが多いです。
AGAによるつむじはげと正常なつむじとの見分け方

頭頂部から薄毛の症状を発症するつむじはげは、上から見たときの形がアルファベットの「O」に似ているため、「O字はげ」とも呼ばれています。
AGAによるつむじはげの見分け方には、毛量だけでなく毛髪の流れや頭皮の状態などのポイントをチェックする方法があります。
つむじの状態を自分で確認することは難しいため、頭頂部やつむじ付近を他人に撮影してもらい、その写真を参考にして確認するといいでしょう。
正常なつむじの特徴 | |
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・地肌の色が白色~肌色 ・毛の流れ方が左右どちらかに渦を巻いている ・毛髪の密度が高く地肌が見えない |
つむじはげになっている頭頂部の特徴 | |
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・地肌の色が赤色~茶色 ・つむじの渦がない ・毛の流れ方が直線的に流れている ・毛髪の密度が低く地肌が見える ・頭頂部の髪の毛が柔らかくてコシがない |
寝癖やつむじ割れと勘違いしているケースもありますが、「つむじはげになっている頭頂部の特徴」に2点以上当てはまった場合はAGAの影響を受けていると考えられます。
症状の進行度にもよりますが、O字はげを治療する場合は、治療薬を用いた「投薬治療」や「注入治療」からAGA治療を行う場合が多いです。
AGAで前髪後退が進行するとU字ハゲに!

上から見た時の形がアルファベットの「U」に似ているU字ハゲは、M字はげとO字はげが同時に進行している状態です。上記で紹介した進行パターンの中では最も広範囲に薄毛の症状が見られるため、かなりAGAが進行していると言えます。
AGA治療は即効性のある治療ではないため、U字ハゲの状態からAGA治療を行う場合、かなりの時間を要する可能性があります。しかしながら、AGAの影響を受けにくい後頭部の毛髪は残っているため、毛根ごと毛髪を移植する「自毛植毛」を行うことで改善する見込みがあると言えるでしょう。
AGAの進行パターンは大きく分けて3パターンですが、いずれの場合も最終的にはⅦ型へ収束していきます。AGAは進行性の脱毛症のため完治は見込めませんが、早めにAGA治療を行うことで進行を遅らせることは可能です。
AGAの原因物質の見分け方は?5αリダクターゼ1型・2型の違いを解説
AGAは男性ホルモンが5αリダクターゼと結合し、ジヒドロテストステロンに変化することで発症すると言われています。5αリダクターゼは人間の体内に存在する還元酵素であり、Ⅰ型とⅡ型があります。
5αリダクターゼⅠ型のAGAの見分け方 |
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5αリダクターゼⅠ型は、ほぼ全身の毛乳頭細胞や皮脂腺に分布しており、頭皮の場合は側頭部・後頭部に多く存在しています。 薄毛の症状に併せて、皮脂量の増加が見られる場合は5αリダクターゼⅠ型による影響を受けていることが考えられます。 |
5αリダクターゼⅡ型のAGAの見分け方 |
5αリダクターゼⅡ型は、頭皮や脇・髭・陰毛などの毛乳頭細胞に分布しており、頭皮の場合は、生え際や前頭部・頭頂部に多く存在しています。 頭皮では脱毛作用がありますが、頭皮以外では毛を濃くする作用があるため、髭などが濃い方は5αリダクターゼⅡ型による影響を受けていることが考えられます。 |
5αリダクターゼは型によって存在している箇所が異なり、薄毛になる部分もそれぞれ異なってきます。AGAを治療する際は、原因となる5αリダクターゼの型に適した治療薬を使用する必要があるため、AGA治療が行える専門クリニックを受診して処方してもらいましょう。
AGAは頭皮や毛髪の状態から、脂漏性皮膚炎などの症状と見分けることが可能です。
また、AGAの進行パターンを参考にすることで、生え際や頭頂部などが正常なのかどうか、AGAの原因「5αリダクターゼ」の1型・2型の影響を受けているのかなどが確認しやすいでしょう。
今回この記事でご紹介したセルフチェックを参考に、AGAの初期症状を見分けたうえで、更に正確なAGAの見分け方でAGAかどうかチェックしたい方は、専門医のいるAGAクリニックを受診するといいでしょう。