
女性の薄毛・抜け毛を引き起こす「びまん性脱毛症」について、FAGA(壮年性脱毛症)・円形脱毛症との違いや見分け方、主な原因や皮膚科・産婦人科等で受けられる治療方法、ミノキシジルなど女性向けのびまん性脱毛症治療薬の効果について解説します!
びまん性脱毛症の女性が自力で治す方法はあるのかや症状の改善・対策法、保険適用の有無や治るまでの治療期間の目安、自然治癒するかどうかなどもまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
女性のびまん性脱毛症とはどんな脱毛症?症状や特徴を解説

びまん性脱毛症とは「瀰漫(びまん)=一面に広がる」という言葉の通り、髪の毛全体に抜け毛や薄毛が広がってしまう疾患です。男女ともに起こり得るものですが、特に女性に多い脱毛症とされています。
まずは、自分がびまん性脱毛症かどうかをセルフチェックしてみましょう。
びまん性脱毛症セルフチェック!
- 髪全体のボリュームが減った
- 以前よりも抜け毛が増えた
- 分け目が目立つようになった
- 髪が細くなったように感じる
- 地肌が透けて見えるようになった
- 髪にハリやコシがなくなった
- ヘアスタイルが決まりにくくなった
びまん性脱毛症の女性に多く見られる症状をまとめた上記のチェックリストに複数当てはまる場合、びまん性脱毛症を発症している可能性が高いです。
びまん性脱毛症は髪全体の毛髪が少しずつ薄くなっていくのが特徴のため、「最近髪のボリュームが減った気がする」「洗髪時に今までより髪が多く抜けている」など、日常の中で変化を感じた際には、びまん性脱毛症の可能性があります。
FAGA(壮年性脱毛症)・円形脱毛症との違いや見分け方
びまん性脱毛症と同じく女性の抜け毛や薄毛を引き起こす疾患として、「FAGA(壮年性脱毛症)」「円形脱毛症」などが挙げられます。
びまん性脱毛症とFAGA(壮年性脱毛症)・円形脱毛症との違いと見分け方について、それぞれ解説していきます。
「脱毛が気になる箇所」で見分ける!
実のところ、女性の壮年性脱毛症であるFAGA(女性男性型脱毛症)はびまん性脱毛症の一種であり、「加齢による女性ホルモンの減少によって引き起こされるびまん性脱毛症」=「FAGA」とされています。
そのため、びまん性脱毛症とFAGA・壮年性脱毛症を明確に区別することは難しいですが、それぞれ薄毛になりやすい箇所に違いがあります。
頭部全体の薄毛が気になる ⇒ びまん性脱毛症
前頭部(生え際)や頭頂部のみ薄毛が気になる ⇒ FAGA・壮年性脱毛症
自分の頭部を鏡などでよくチェックした上で、抜け毛や薄毛が進行している箇所によって2つの疾患を見分けると良いでしょう。
「脱毛の症状」と「好発年齢」で見分ける!
円形脱毛症は、びまん性脱毛症とは全く異なる原因によるもので、免疫系機能に異常が発生する自己免疫疾患やアトピー素因などによって引き起こされると考えられています。
びまん性脱毛症と円形脱毛症には、脱毛の症状や疾患を発症しやすいとされる“好発年齢”に違いがあります。
頭部全体に脱毛の症状がある ⇒ びまん性脱毛症
「脱毛斑」と呼ばれる10円玉程度の円形・楕円形の脱毛が生じている ⇒ 円形脱毛症
30代後半~40代・50代の更年期の女性 ⇒ びまん性脱毛症
40代以下の若い女性 ⇒ 円形脱毛症
一部分にのみ脱毛が見られる「円形脱毛症」の症状には特徴があるので区別しやすいですし、抜け毛・薄毛が起きやすい年代の違いも踏まえるとより見分けやすいでしょう。
びまん性脱毛症の女性に多い原因について

びまん性脱毛症は、女性ホルモンの減少やホルモンバランスの変化、生活習慣などの様々な原因が重なって発症すると言われています。
びまん性脱毛症の女性に多く見られる原因について、詳しく説明していきます。
加齢による女性ホルモンの減少
びまん性脱毛症の原因の中で最も多いとされているのは、加齢による女性ホルモン(エストロゲン)の減少です。
女性ホルモンの一種である「エストロゲン」には毛髪の成長を促進する作用があり、女性の髪を維持するために必要不可欠な物質ですが、30代後半~40代・50代の更年期に女性ホルモンの分泌が急激に低下してエストロゲンが減少することで、発毛サイクルが乱れて抜け毛・薄毛の症状を発症してしまいます。
産後・ピル服用でのホルモンバランスの変化
びまん性脱毛症を引き起こす“エストロゲンの減少”を招く要因として、産後のホルモンバランスの乱れや、ピルの服用による女性ホルモンの変化などが挙げられます。
妊娠中は通常よりも女性ホルモンが増加するため、エストロゲンが十分に分泌されてヘアサイクルが整っているものの、出産後に女性ホルモンが著しく減少してホルモンバランスが乱れることで、「分娩型脱毛症」とも呼ばれる産後のびまん性脱毛症を発症してしまいます。
また、ピル(経口避妊薬)は女性ホルモンをコントロールする作用があるので、服用中・服用後のホルモンバランスの変化によって一時的に抜け毛や薄毛を誘発してしまう可能性もあることは押さえておきましょう。
食生活の偏りや運動不足・睡眠不足
びまん性脱毛症は、食生活の偏りや運動不足・睡眠不足などの生活習慣の乱れが原因で発症する場合もあります。
びまん性脱毛症の原因となり得る習慣について、以下にまとめました。
- ファストフードや揚げ物、ラーメンなどの脂質の高い食べ物をよく食べる
- ケーキやお菓子などの糖質の多い食べ物をよく食べる
- 栄養バランスの偏った食事をしている
- 過度な食事制限(ダイエット)で十分に栄養を摂取できていない
- 寝る直前に食事を摂ることがある
- 日頃から運動をする習慣が全くない
- 睡眠時間の平均が6時間未満
食事面では、脂質・糖質を多く含む高カロリーな食べ物を日常的に摂取することで、毛穴のつまりや血流の悪化を招き、毛髪の成長に必要な栄養素などが十分に運搬されなくなってしまうことで育毛の阻害に繋がります。
それとは逆に、過度な食事制限・ダイエットによる栄養不足も毛髪の成長に悪影響を与えてしまうので注意が必要です。
また、運動不足による血行不良や、睡眠不足による毛髪形成に必要な「成長ホルモン」の分泌量減少などもびまん性脱毛症の原因になります。
ストレスやアルコール・タバコなどの悪習慣
びまん性脱毛症を引き起こす日常的な原因として、慢性的なストレスやアルコール・タバコなどの悪い習慣も挙げられます。
ストレスを感じると自律神経やホルモンバランスが乱れて血流が悪化し、頭皮・頭髪に栄養や酸素が運搬されにくくなることで抜け毛や薄毛の原因になります。
また、毛髪の成長に必要な栄養素がアルコールの代謝に使用されてしまったり、ニコチンによる血行不良で毛髪の成長が阻害されたりと、過度な飲酒や喫煙もびまん性脱毛症の一因となります。
ただし、飲酒や喫煙によってストレスを解消している女性だと、禁酒・禁煙によって余計にストレスが溜まってしまう可能性もあるので、無理をし過ぎないことも重要でしょう。
ヘアカラー・白髪染めによる頭皮ダメージ
びまん性脱毛症は、ヘアカラーや白髪染めなどの外側からの頭皮ダメージが原因となる場合もあります。
髪のおしゃれを楽しみたい!という女性の中には、カラーリングやパーマ、縮毛矯正などを定期的に行っている方も多いかと思いますが、それらの施術に使用する薬剤には頭皮に刺激を与える成分が含まれているものもあり、人によってはアレルギー反応を起こしてしまうケースもあります。
頭皮環境が悪化したり髪の毛がダメージを受けることで、抜け毛や薄毛に繋がってしまう恐れもあるので、頻繁にヘアカラーや白髪染め等を行っている方は注意が必要です。
びまん性脱毛症の治し方!皮膚科・産婦人科など何科を受診?

びまん性脱毛症による抜け毛・薄毛の治療は、女性の薄毛治療を専門としたクリニックや、一般診療を中心とした皮膚科・産婦人科などの様々な病院で行うことが可能です。
「薄毛治療専門院」「皮膚科」「産婦人科」のそれぞれの病院でのびまん性脱毛症の治し方として、対象としているびまん性脱毛症の原因・症状や主な治療法を以下にまとめました。
薄毛治療専門院 | 皮膚科 | 産婦人科 | |
---|---|---|---|
治療対象の 原因・症状 |
ほとんどの原因・症状に対応 | 頭皮トラブル | 産後の抜け毛 |
主な治療法 | ・専門医による診察 ・治療薬の処方 ・注入治療 ・自毛植毛 |
・診察 ・治療薬の処方 |
・診察 ・治療薬の処方 |
びまん性脱毛症の治療は皮膚科や産婦人科などでも受けられるものの、上記のように治療が可能な原因・症状が限られていたり、治療法の選択肢が少なかったりと、自分に合った治療を受けるのが難しいというデメリットがあります。
一方で、びまん性脱毛症などの様々な薄毛の悩みに特化した専門院であれば、専門医に頭皮・頭髪の症状を詳しく診察してもらった上で、内服薬・外用薬や注入治療、自毛植毛などの幅広い治療法から選択してびまん性脱毛症の治療を受けることが可能です。
女性のびまん性脱毛症は様々な原因によって発症するとされており、症状を改善するためには自分の症状に合った治療を行う必要があるため、何科を受診すれば良いかお悩みの方は治療薬・治療法が豊富な薄毛治療専門の病院を受診するのがおすすめです。
後ほど、薄毛治療専門の病院で処方してもらえるびまん性脱毛症治療薬や施術を伴う治療の効果を紹介しているので、参考にしてください。
びまん性脱毛症治療薬の効果!ミノキシジル・スピロノラクトン・パントガール
ここからは、びまん性脱毛症の女性の治療に用いられる「ミノキシジル」「スピロノラクトン」「パントガール」の3種類の治療薬について、それぞれの効果・副作用などを解説していきます。
ミノキシジルは、女性のびまん性脱毛症の治療だけでなく、男性のAGA(男性型脱毛症)治療等にも幅広く用いられている外用薬・内服薬です。
●血管拡張作用によって血流を改善し、毛髪の成長に必要な栄養素や酸素などをスムーズに行き渡らせることで育毛を促進する効果が期待できます。
●毛母細胞に直接働きかけて細胞の分裂・増殖を活性化させることで、新たな毛の生成を促す発毛促進の効果が期待できます。
●外用薬:頭皮の発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、ふけ、頭痛、めまいなど
●内服薬:動悸・息切れ、頭痛、めまい、多毛症、肝機能障害など
ミノキシジルを用いた治療を行うことで、育毛促進・発毛促進などの効果によるびまん性脱毛症の改善が見込めます。
ミノキシジル外用薬は国内承認薬で、脱毛症の診療ガイドラインでも推奨度Aの“行うよう強く勧める”治療法とされており、副作用は発現したとしても頭皮トラブル等の軽度のものがほとんどです。
一方、ミノキシジル内服薬は国内未承認で、ガイドラインでは推奨度Dの“行うべきでない”治療法と定められています。
内服することで血中に取り込まれて全身に作用するため、外用薬よりも高い治療効果が見込めるものの、頭髪だけでなく全身の毛が増加してしまう「多毛症」や「肝機能障害」などの重度の副作用が発現する恐れがあるので留意しておきましょう。
なお、ミノキシジルの成分濃度は女性用と男性用で異なり、外用薬だと女性の場合は1%、男性の場合は5%のものを用いることが推奨されています。濃度の高すぎる治療薬を使用すると副作用のリスクが高まってしまうので、びまん性脱毛症の治療には女性用のミノキシジルを処方してもらうようにしてください。

スピロノラクトンは、本来は高血圧症などの治療に用いられる薬ですが、脱毛の抑制が可能な「抗男性ホルモン」の作用が確認されたことによりびまん性脱毛症などの治療に用いられるようになった内服薬です。
アンドロゲン受容体の活性化を抑える作用により、脱毛の原因物質である男性ホルモンの「DHT(ジヒドロテストステロン)」とアンドロゲン受容体の結合を阻害することで抜け毛を抑制する効果や薄毛を予防する効果が期待できます。
女性型乳房、性欲減退、月経不順、発疹・蕁麻疹、食欲不振、倦怠感など
スピロノラクトンを用いた治療を行うことで、脱毛抑制・薄毛予防などの効果によるびまん性脱毛症の改善が期待できます。
上記のスピロノラクトンの効果でも説明した通り、スピロノラクトンは間接的に男性ホルモンに干渉することで効果を発揮するため、びまん性脱毛症の中でも女性ホルモンの減少によるホルモンバランスの乱れ等が原因である「FAGA(女性男性型脱毛症)」の治療に適しています。
そのため、びまん性脱毛症の症状として生え際やつむじなどの薄毛が特に気になっている方はスピロノラクトンでの治療を検討してみると良いでしょう。
パントガールは、ドイツの製薬会社が開発した世界初の女性用の薄毛治療薬です。日本では未承認の薬であるものの、産後脱毛を含む幅広いびまん性脱毛症の治療に使用されています。
主成分である「D-パントテン酸カルシウム」の作用による頭皮・頭髪を健やかに保つ効果や、L-シスチンやビタミンB1、ケラチンなどの豊富な栄養素による毛髪の成長を促進する効果などが期待できます。
頭痛、腹痛、下痢、めまい、動悸、胸やけ、アレルギー反応など
パントガールを用いた治療を行うことで、育毛促進の効果や、頭皮・頭髪の状態を整える効果によるびまん性脱毛症の改善が期待できます。
パントガールに含有されているのはアミノ酸・タンパク質・ビタミンなどの栄養素がほとんどで、成分的にはサプリメントに近い薬です。
したがって、新たな毛を生やす効果などの直接的な効果は期待できないものの、重篤な副作用等はほとんど報告されていないので、びまん性脱毛症の症状が軽度な女性や、リスクを抑えて抜け毛・薄毛を改善したい女性などにも適した治療薬でしょう。
びまん性脱毛症の治療法:メソセラピーや自毛植毛による効果
びまん性脱毛症の女性の治療には、前項でご紹介した治療薬だけでなく、医師による施術を受ける「注入治療(メソセラピー)」「自毛植毛」などの治療法が用いられる場合もあります。
メソセラピーや自毛植毛の効果・副作用について、以下にまとめました。
注入治療(メソセラピー)は、びまん性脱毛症に限らず女性・男性の様々な脱毛症の治療に用いられる治療法です。
しかし、メソセラピーだけでびまん性脱毛症の改善を図るケースは少なく、基本的には内服薬・外用薬での投薬治療と併用されることがほとんどです。
専用の注射器や医療機器を用いて頭皮下に直接薬剤を注入することで、抜け毛を抑制する効果や発毛を促進する効果などが期待できます。
※注入する薬剤に含有されている有効成分等によって効果は異なります。
施術部分の痛み・赤み・腫れ・かゆみ、有効成分による副作用症状など
注入治療(メソセラピー)の施術を受けることで、薬剤に配合された有効成分や栄養素による脱毛抑制・発毛促進などの効果が見込めるので、内服薬・外用薬と併用することでより効果的なびまん性脱毛症の治療を行うことが可能です。
注入治療に使用される薬剤の種類や施術方法は病院によって異なり、期待できる効果はもちろん、施術による副作用や痛みの程度などにも違いがあるため、自分のびまん性脱毛症の症状や希望に合った治療が行えるかどうかを事前に必ずチェックしておきましょう。
自毛植毛は、びまん性脱毛症や他の脱毛症がかなり進行している場合に用いられる外科手術での治療です。
自毛植毛は専門医のみが行える施術のため、対応しているのは一部の薄毛治療専門院や大手の美容外科・美容皮膚科クリニックなどに限られています。
びまん性脱毛症の影響が少ない部分から毛髪を採取し、毛包ごと患部に移植することで気になる箇所の薄毛を目立たなくさせる効果が見込めます。
施術部分の痛み・赤み・かゆみ・出血、移植部周辺の一時的な脱毛(ショックロス)など
自毛植毛の施術を受けることで、薄毛が気になる部分に増毛させてびまん性脱毛症を目立たなくさせる効果が期待できます。
移植した毛髪が定着した後は、通常の髪の毛と同様に生え変わりを続けるため、一度の施術による効果が半永久的に持続するのが特徴です。
ただし、自毛植毛の外科手術を受けることで施術部分の痛みや出血などが起こるリスクもあります。また、自毛植毛にかかる費用は数十万〜数百万と高額になる場合も多いので、カウンセリング時に料金を見積もってもらった上で施術を検討するようにしてください。
びまん性脱毛症を自力で治す方法は?改善するための対策をご紹介
ここまで、病院で受けられるびまん性脱毛症の治療法について詳しく解説してきましたが、中には「びまん性脱毛症を自力で治したい!」と考えている女性もいるのではないでしょうか。
結論から言うと、びまん性脱毛症による抜け毛や薄毛を自力で治すのはほとんど不可能です。ですが、びまん性脱毛症の対策をすることで頭髪・頭皮の状態を改善したり、治療をサポートして症状の改善を図ることはできます。
そこで、自力で行える女性向けのびまん性脱毛症の対策法をご紹介していきます。
バランスの良い食事や運動・睡眠を心がける
びまん性脱毛症の対策として日常の中で気軽に始められるのが、食事や運動・睡眠などの生活習慣の改善です。
びまん性脱毛症によって細く弱ってしまった髪を健やかにするサポートとして、栄養バランスの整った食事を心がけるとともに、下記のような毛髪の成長に必要な栄養素を積極的に摂取するのもおすすめの対策です。
タンパク質 | 亜鉛 |
---|---|
髪の毛の主成分「ケラチン」の材料となるアミノ酸を補給する ◎おすすめの食べ物 肉類、卵、乳製品、魚介類、大豆製品など |
アミノ酸が「ケラチン」に合成するのをサポートする ◎おすすめの食べ物 牡蠣、煮干し、レバー、ナッツ類、プロセスチーズなど |
ビタミン | 鉄分 |
新陳代謝の促進や抗酸化作用によって頭皮環境・血流を改善する ◎おすすめの食べ物 緑黄色野菜、柑橘類、アーモンド、卵、バナナなど |
貧血を予防して頭皮に十分に酸素・栄養を行き届かせる ◎おすすめの食べ物 鮎、レバー、貝類、煮干し、小松菜、赤身肉など |
上記の4つの栄養素は健やかな髪を維持するために欠かせないものですが、日々の食事の中で十分に摂取するのが難しいという方は、該当する栄養素が含まれたサプリメントの服用を検討してみるのもおすすめです。
食事面だけでなく、適度な運動や十分な睡眠を習慣づけることもびまん性脱毛症の予防・改善に役立つ対策です。
適度な運動を継続して行うと、徐々に筋肉が増えて血行が促進され、毛髪の成長に必要な栄養・酸素が頭皮に行き渡りやすくなります。
運動の中でも「有酸素運動」が特に有効とされているので、ウォーキングや軽めのジョギング、ヨガやストレッチなどがおすすめです。
睡眠時間に関しては、毛髪を十分に成長させるためには6時間〜7時間睡眠が理想的とされています。忙しい女性だとなかなか難しいかもしれませんが、なるべくまとまった睡眠を摂るように心がけてみてください。
また、質の良い睡眠を得るために、食事は就寝の3時間前まで、入浴は就寝2時間前までに済ませておくと良いでしょう。

シャンプー・頭皮マッサージ等でのヘアケア
頭皮環境・頭皮の血行の悪化はびまん性脱毛症の一つの要因でもあるため、正しいシャンプーや頭皮マッサージによるヘアケアを行うのも大事な対策です。
1. 乾いた状態の髪をブラッシングして、ほこりなどの汚れを落とす
2. 髪と頭皮をしっかりと濡らす
3. 適量のシャンプーを手に取って頭皮になじませる
4. 指の腹を使って頭皮を中心に優しく洗う
5. 洗い残しが無いようにしっかりとすすぐ
6. ドライヤーを使って毛髪だけでなく頭皮も乾かす
参考:ヘアケアの基礎知識「正しいシャンプーの方法」
せっかくシャンプーをしても、頭皮に付着した汗や皮脂、ワックスなどの汚れがしっかりと落とせていなかったり、シャンプーのすすぎ残しがあったりすると、頭皮環境の悪化に繋がってしまうため、上記を参考にして正しい洗髪を心がけてみてください。
また、自然乾燥で髪を乾かすと頭皮に菌が繁殖しやすく、かゆみやフケなどの頭皮トラブルを引き起こし兼ねないので、洗髪後はドライヤーで頭皮までしっかりと乾かすようにしましょう。
1. 頭皮全体をほぐす
⇒両手のひらで頭をはさみ、「耳上両側・前後」「耳の後ろ~襟足」「額の生え際」「頭頂部」などを押してほぐしながら頭皮を動かす
2. 引き上げ
⇒指全体で頭皮を押しながら、生え際から頭頂部に向けて地肌を上に引き上げる(少しずつ位置を変えながら行う)
3. ツボ押し
⇒両手の指先で、1ヶ所のツボにつき3秒程度押して離す
◎百会:頭頂部のほぼ中央にあるツボ
◎通天:百会から左右両側に少しずれたところにあるツボ
◎天柱:首の後ろの太い筋の両外側にあるツボ
◎風池:天柱のすぐ外側で1センチほど上にあるツボ
頭皮マッサージを行うことで、頭皮の血行を促進する効果が期待でき、血流が良くなることで毛根に栄養や酸素を届けやすくなります。
また、女性の中にはネイルをしている方や爪を長く伸ばしている方もいるかと思いますが、爪を立ててマッサージを行うと頭皮を傷付けてしまう恐れがあるため、指の腹を使ってマッサージするように心がけたり、ヘッドマッサージ機などを使用してみるのもおすすめです。
育毛剤やサプリメント・漢方を使用する
女性のびまん性脱毛症の対策・予防として、市販で購入できる育毛剤やサプリメント・漢方などを使用することもできます。
使用する商品 | 期待できる効果 |
---|---|
育毛剤 | 有効成分の作用により、脱毛の予防や育毛、ふけ・かゆみ等の頭皮環境の改善などの効果が期待できる |
サプリメント | 毛髪の成長に必要な栄養素や、頭皮を健やかに保つ働きのある栄養素を補給することで、治療による育毛・発毛をサポートする |
漢方 | 様々な身体の不調を改善することで、体質的なびまん性脱毛症の原因にアプローチする |
育毛剤を使用したりサプリメントや漢方を服用することで、抜け毛や薄毛を予防する効果や、頭皮環境や体質を整える効果などは見込めるものの、病院で処方される治療薬のように新しく髪を生やす等の明確な変化が期待できる訳ではありません。
健やかな髪が育ちやすい頭皮環境を整えるためのケアや、毛髪の成長に必要不可欠な栄養素のチャージなど、あくまでびまん性脱毛症の治療のサポートを目的として育毛剤やサプリメント・漢方を取り入れるのがおすすめです。
髪型・ウィッグで目立たないようにする
根本的にびまん性脱毛症を治す方法ではありませんが、薄毛が気になりにくい髪型に変えてみたり、ウィッグを着用したりと、ヘアスタイルで見た目を変化させるのもびまん性脱毛症対策の一つです。
びまん性脱毛症の女性におすすめのヘアスタイル① ショートヘア |
びまん性脱毛症の女性におすすめのヘアスタイル② パーマスタイル |
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びまん性脱毛症の女性におすすめの髪型は、ベリーショートやショートボブなど、髪全体を短くするヘアスタイルです。 ショートヘアにすると髪が軽くなるため1本1本の髪が立ち上がりやすく、全体的にボリュームアップして見えるので、薄毛が気になりにくくなります。 |
髪を短くするのに抵抗がある・・・という女性は、毛量が少なくてもふんわりと仕上がる「ミディアムパーマ」などのパーマスタイルもおすすめです。 パーマをかけることに抵抗がある方は、ヘアアイロンを使用してスタイリングしてもOKです。 |
びまん性脱毛症の女性におすすめのヘアスタイル③ 7~8トーンのナチュラルなヘアカラー |
びまん性脱毛症の女性におすすめのヘアスタイル④ ウィッグ |
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薄毛が目立ちにくいヘアカラーとしては、7~8トーン程度のナチュラルな色味が挙げられます。 地肌と同化してしまうハイトーンの色味や、地肌との差が際立ってしまう黒髪などは、薄毛を目立たせる要因となるため、適度なカラーを選択すると良いでしょう。 |
びまん性脱毛症が進行していて、髪型では薄毛をカバーできないという女性は、頭部に装着することで毛髪を補える「ウィッグ」を使用するのも一つの手です。 髪全体を覆うタイプや部分的に装着するタイプなど、様々なタイプのウィッグが販売されているので、希望に合ったものを選択することが可能です。 |
上記のようなヘアスタイルを取り入れるのは、すぐに実行できるびまん性脱毛症の対策のため、まずは見た目から改善したい!という女性はぜひ参考にしてみてください。
ここまでびまん性脱毛症の女性におすすめの対策をご紹介してきましたが、先程も説明した通り、自力でびまん性脱毛症を改善するのはほぼ不可能です。
びまん性脱毛症による抜け毛や薄毛は、治療をせずに放っておくと徐々に進行してしまうため、びまん性脱毛症を改善したいという女性はなるべく早めに医療機関を受診して専門医に診てもらい、原因を突き止めた上で適切な治療を行うのがおすすめです。
びまん性脱毛症に関するよくある質問
ここからは、女性のびまん性脱毛症に関するよくある質問について一つずつ解説していきます。
びまん性脱毛症は保険適用される?

びまん性脱毛症の治療には医療用医薬品や医師による施術を用いるため、健康保険が適用されると考えている女性もいるかと思いますが、びまん性脱毛症の治療は保険適用外の自由診療に分類されます。
そのため、自由診療であるびまん性脱毛症の治療を行う際には、
・治療にかかる費用は全額自己負担になる
・治療薬や施術の料金は各院で自由に設定できるため、同じ治療を行う場合でも病院によって治療費用が異なる
という注意点を踏まえた上で、自分の予算内で無理なくびまん性脱毛症の治療を行える病院を選択するようにしましょう。
びまん性脱毛症が治るまでの治療期間は?

女性のびまん性脱毛症は、一般的には治療を開始してから6ヶ月程度で抜け毛の減少などの効果を実感できると言われています。
ただし、びまん性脱毛症の原因や症状・進行度、行う治療の内容などによって治療期間には個人差があるため、少なくとも1年は治療を継続することが推奨されています。
なるべく早くびまん性脱毛症を改善したい!という女性は、投薬治療と注入治療の併用したり、生活習慣の改善等の対策に積極的に取り組むのもおすすめです。
びまん性脱毛症になりやすい女性の年齢は?

びまん性脱毛症を発症しやすい女性の好発年齢は、主に30代後半〜更年期と呼ばれる40代・50代とされていますが、どの年代の女性にも起こり得る疾患です。
ただし、女性の年齢によってびまん性脱毛症を引き起こす主な原因に違いがあります。
・10代・20代女性に多いびまん性脱毛症の原因
生活習慣の乱れやストレス、ヘアカラー等による頭皮ダメージなど
・30代女性に多いびまん性脱毛症の原因
産後のホルモンバランスの変化など
・40代・50代以降の女性に多いびまん性脱毛症の原因
加齢による女性ホルモン(エストロゲン)の減少など
上記のように、女性のびまん性脱毛症と一口に言っても発症する原因は様々ですし、年齢によってびまん性脱毛症かどうかを見分けるのは難しいため、疑いがある場合には無料カウンセリング等を受診して医師に判断してもらうようにしましょう。
びまん性脱毛症は自然治癒する?

びまん性脱毛症は進行性の疾患であるため、自然治癒することはありません。何も治療を行わずに放置しておくと、治るどころか抜け毛や薄毛が進行してしまいます。
びまん性脱毛症が発症したばかりの軽度の状態であれば、脱毛を抑制する治療薬の服用などで改善できる場合が多いですが、薄毛がかなり進行してしまうと注入治療や自毛植毛などが必要になるケースもあり、治療にかかる費用も高額になってしまいます。
そのため、びまん性脱毛症の自然治癒は期待せず、なるべく早期の段階で治療をスタートするのが改善のための近道です。
びまん性脱毛症の進行は早い?

びまん性脱毛症の進行スピードは、他の脱毛症よりも比較的遅めと言われています。
ただし、頭部全体の毛髪がゆっくりと抜けて行くので、初期段階ではびまん性脱毛症を発症していることが分かりにくく、気付いたら薄毛が進行していたという女性も多いそうです。
「以前よりも若干抜け毛が増えた」「髪のボリュームが以前よりも減った気がする」などの些細な変化を見逃さず、その時点でびまん性脱毛症かどうかを確かめることが大切です。
びまん性脱毛症の治療薬は薬局などで市販されている?

びまん性脱毛症の治療に用いられる「スピロノラクトン」「パントガール」などの女性向け治療薬は、全て医師の診察・処方が必要なものなので、薬局やドラッグストア等での市販はされていません。
ただし、「ミノキシジル外用薬」は薬局やドラッグストア、国内通販サイトなどで市販されており、問診への回答及び薬剤師によるチェックを受ければ、女性専用のミノキシジル外用薬(濃度1%)を購入できます。
なお、女性が1%より高濃度のミノキシジル外用薬やミノキシジル内服薬を購入したい場合は専門クリニックの受診が必要になるので、留意しておきましょう。
インターネット上の一部の通販サイト等では、びまん性脱毛症の治療薬を販売しているところもありますが、取り扱われているのは海外製の個人輸入品がほとんどで、安全性が保証されておらず健康被害等のリスクもあります。
医療機関を受診して医師の診察を受け、薬の服用・外用に問題がないかなどもきちんと確かめてもらった上で、処方してもらった正規の内服薬・外用薬を用いてびまん性脱毛症の治療を行うようにしましょう。
参考:医薬品等を海外から購入しようとされる方へ |厚生労働省当記事では、女性のびまん性脱毛症の原因や治療方法、自力で行える対策などについて解説しました。
女性の抜け毛・薄毛を引き起こす疾患の多くがびまん性脱毛症だと言われており、お悩みの方も多いと思いますが、適切な治療を行うことで抜け毛を減らす効果や発毛を促進する効果が期待できます。
びまん性脱毛症の治療は薄毛専門クリニック等で受けられるので、薄毛や抜け毛が気になっている女性は一度医師に相談してみてくださいね。